卵料理には自信があります
この店を始めた辻川元伸さんの父は、8人きょうだいの三男坊だ。 父の実家は烏丸九条で洋食店を営んでおり、8人きょうだいのうち4人がそれぞれ洋食店を開業。 最盛期には「辻川」の名を冠した洋食店が京都駅南側に4軒あったという。 「よく『辻川はグループ店ですか?』と聞かれるんですが、違います。 親戚がめいめい自分の店を営む形態です」。
元伸さんは、父からこの店「レストラン辻川東店」を受け継いだ二代目だ。
一度外の世界へ出て
再び父が築いた店へ
元伸さんは10代から店を手伝い、父の仕事を間近で見てきた。 高校卒業後はアパレルやスキューバダイビングの仕事をしたが、30歳を過ぎて飲食業が好きな自分に気づき、再び父のもとで働くように。
コロナ前には実家を離れ、自分の店「TSUJIKAWA」を四条河原町に開いた。 お酒と一緒に洋食を楽しむ酒場で、元伸さんは真摯に厨房に立った。 しかし、期待ほど客足は伸びない。 「辻川という名前が知られていない場所で勝負する厳しさ」を実感し、父が築いたブランドの力を改めて思い知った。
やがて高齢の父から店を引き継ぐことになり、「TSUJIKAWA」は閉店、「レストラン辻川東店」へ戻った。 二代目としての将来を見据え、2022年に店を全面改築。 現在は朝9時から仕込みをスタートし、一日中厨房で仕事をする。 「飲食業は体も経営もしんどいことばかり」と言いながらも、「20代で異業種を経験して、その厳しさも知った。今は飲食業以外で、生活していくことは考えられない」と決意を口にする。


父の味を守りながら
店のレベルを上げる挑戦
こだわりが強く、とりわけ肉の質にうるさい父とは、よく厨房でケンカもした。しかし「他のレストランで働いたことはない。学んだのは父の味だし、ここは親父が創業した店だから」と、父のレシピに手を加えることはしない。
店の看板メニューは父が考案した味ばかり。スコッチエッグ、とんかつ、ビフカツ。さらには一から手作りするデミグラスソースやドレッシングも、父の味を大切に引き継いでいる。
味を守る一方で、元伸さんは食材を見直し、より質の高いものへ変更した。今、元伸さんが特に力を入れるのは卵料理だ。 「オムレツ、オムライス、玉子サンド、タルタルソース、マヨネーズ……卵料理はよそに負けません」。
1個あたり、価格は倍以上のものに変えた。卵は火加減ひとつで食感が変わるし、味付けも塩梅が難しい。食材として、卵は攻略しがいがあると胸を張る。 「父のレシピはそのままに、素材をいいものに変えて、店のレベルを上げていきたい」。
元伸さんは「おいしいものを出す」ことに心を砕く。父が誠実に育んできた「辻川」の名に恥じないように。

レストラン辻川東店
TEL
075-661-2456
ACCESS
京都市南区東九条西御霊町28-2
最寄りバス停
札ノ辻、地下鉄九条駅前
営業時間
11時〜15時、17時〜21時
定休日
火曜