だれにとっても、居心地の良い空間
2025年の年末。五条通の一本南の筋、渋谷通に古い町家を改装した菓子店がオープンした。名前は「&HoeK」という。2人の店主は京都出身で、1997年生まれの畔柳風花(くろやなぎふうか)さんと黒松久普(くろまつくほ)さん。出会いは高校時代。同志社国際高校のクラスメイトだった。
お菓子がつなぐご縁
高校のときの夢を現実に
「くろまつとくろやなぎ。出席番号が前後で、お互いの名前も個性的だったことから仲良くなって」。
クラスだけでなく部活、さらにはお菓子作りという趣味まで一緒。意気投合した2人は週末になるとどちらかの家に出向き、お菓子作りの時間を共有するようになった。「いつか自分たちの店を持ちたい」。描いた夢もまた同じだった。でも、これを単なる夢物語で終わらせなかったのがすごいところ。
共に同志社大学に進学すると、畔柳さんは大学と製菓の専門学校のダブルスクールを選択。黒松さんはカフェでアルバイトをしながら現場経験を積んだ。
卒業後、畔柳さんは「粉について学べる」製粉会社、黒松さんは「お金を貯めるために」商社に就職。2人は東京勤務になるが、偶然にも勤務先は近かった。週末ごとに交流は続き、お菓子作りに対する情熱も冷めることはなかった。
就職から3年で、2人は満を持して退職。奈良にある畔柳さんの祖母の空き家で、互いの名前を一字ずつ取った「&HoeK」の挑戦は始まった。3年間のオンラインショップでの挑戦を経て、大学があって思い入れのある京都の地で実店舗を開店。10年以上かけて、2人で描いてきた夢が現実のものになった瞬間だった。


ケーキはテイクアウト可。
いろんな人が寛げるように
10年後を見据えた店づくり
畔柳さんと黒松さんはお互いを「片割れ」と呼び合う。相手を深く言頼し、尊敬し合っている。今では家族よりも長い時間を過ごす日々が続くが、これまで大きなケンカは一度もない。
お菓子は、畔柳さんが焼き菓子全般、そして黒松さんはプリンやケーキ類を担当。季節のフルーツを生かしたお菓子は、どれも食べ応えがあり、満足度も高い。
2人が開店にあたり大切にしたのは、外国の人や親子連れ、ドリンクだけの人も、だれにとっても居心地の良い空間であることだ。ひとりでも利用しやすいカウンター席に、町家の梁を生かした2階席や個室にもなるテラス席。「最近は、ご近所の方も来てくださるようになって」と話す畔柳さんはうれしそうだ。
「そもそも、自分1人だったら店をやろうとは思わなかったと思います。この 2人でやるからできる。もはや店を持つのが、どちらの夢だったのか、お互いがわからないです」と2人は口を揃えて笑う。
次の夢は「10年間、店を続けること」。高校時代から堅実に歩を進めてきた2人なら、絶対に実現できる。この店のお菓子を食べれば、それが確信に変わるだろう。


&HoeK(あんどふーく)
ACCESS
京都市東山区下新シ町345
最寄りバス停
五条大和大路・東山開睛館前
営業時間
10時~18時
定休日
月・火(祝日は営業)