ライター・エッセイストのさとゆみ(佐藤友美)が書く「京都人じゃないからこそ感じる京都の魅力」。 京都と東京、2つの都で2拠点生活をする、京都歴1年の新参者が送る新連載「よそものだけど、大好きです」第4回。
仕事やプライベートで海外に行った時、「どこからきたの?」と聞かれて、「日本だよ」と答えると「おお! ナイス!!」と盛り上がることが多い。
そして、「僕は去年、日本に行ったよ」とか「今年、日本に行く計画をしているんだ」などと言われる確率が非常に高い。
体感でいうと、アメリカやヨーロッパで「どこからきたの?」と声をかけてくる人の半分くらいは、「日本に行ったことがある」or「行く予定だ」と言う。
なるほど、これは、オーバーツーリズムにもなるはずだと思う。
「日本のどこに住んでいるのか?」と聞かれ、「東京」と答えていた頃は、「電車がクリーンで時間に正確だよね!」「ウォッシュレットはアメージングな発明だよ!」などと言われることが多かった。
去年からは、「東京と京都で2拠点生活をしているよ」と答えている。
すると、先方の盛り上がり方が一段階アップする。目の輝きが変わるのだ。
「おおおおおおおーーーKYOTOーーーー!!!」
「ワンダルフル! ビューティフル!」
「これまでの旅行で一番好きな街だったよ」
と言われる。
自分の手柄では全然ないけれど、そう言われるのは嬉しい。
*
この春、私はスペイン巡礼の旅をした。四国のお遍路さんのように、2週間かけて約300キロの道を歩く旅だ。
道中、いろんな国の人と話をした。そしてそこでもやはり、出身地の話になる。巡礼をしようとなどと考える人たちは旅好きばかりだから、日本にきたことがある人の割合は高い。
私が京都に家を借りたばかりなのだと話すと、「KYOTO! 素晴らしい街だった」と、誰もが顔をほころばせる。
私も京都は新参者で、いまでも旅行者気分なところがあるから、
「神社いいよね! お寺も素敵だよね!」
などと答えていたのだが、ある日出会った年配のポーランド人の女性が、「それだけじゃない」と、言った。
「京都のお寺も神社も素敵だけれど、それよりより素晴らしいのは、リスペクトフルだ」
と言う。
「リスペクトフル?」
と聞き返すと、
「そう。私は京都で、人が人に敬意をもって接する態度にとても感動した」
と、彼女は話す。
「とくに、子どもたちが年配の人たちに対して尊敬の気持ちをもって接しているのを見て、本当に素晴らしい国だと思ったのよ」
彼女は自国に帰ってから、その話をいろんな友人にしたそうだ。あのリスペクトフルこそ、日本の素晴らしいところだと力説する。
それを聞いていたドイツ人の男性が、「僕もそう思う」と言う。そして、「京都は古都だけれど、新しいデザインや現代アートも素晴らしい。古いものと新しいもの、年配の人と若い人。それぞれが尊重しあって生きているのが素敵だったなあ」と言った。
2人は、「また京都に行きたい」と言い合い、「良い旅を」と、にっこり笑って、去っていった。
世界じゅうのどこかから京都を訪ねてきた人が、その景色をみて、食事をして、人と接して、「素敵な街だった」と言う。
その人たちが、日本人である私(そして京都にも住んでいる私)に好意的に接してくれるのは、何ヶ月前か、何年まえかに、彼/彼女たちを感動させた、「京都に住む誰か」のおかげだ。
京都での幸せな思い出があるから、海外で出会った京都住みの私にも親切にしてくれる。京都人の優しさを、私はお裾分けされているのだなと感じる。
そんな経験をすると、私も、誰かにとっての優しい人でありたいなと思う。
私が、海外で京都の誰かの優しさのお裾分けをもらったように。未来の日本の誰かが海外で、「日本っていいところだよね」と言ってもらえるような自分でありたいなと、思う。
よそものだけど、大好きです。
好意を連鎖する、京都でのおもてなし。京都の人たちのリスペクトフル。


ライター・エッセイスト
佐藤友美(さとゆみ)
PROFILE
ライター・エッセイスト。1976年北海道知床半島生まれ。テレビ制作会社のADを経て、ライターに転向。現在は、様々な媒体にエッセイやコラムを執筆する。
著書に『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)『書く仕事がしたい』(CEメディアハウス)『ママはキミと一緒にオトナになる』(小学館)など。
2025年夏より、京都と東京、2拠点を行き来する。