初心者がハマっていくのがうれしい
1階には色とりどりのサイクルウェアやヘルメット。螺旋階段を上がった2階には、自動車並みの値札が付いたロードバイクが並び、フレームやタイヤといったパーツ類がディスプレイされている。
今年創業100年を迎えたコセキ サイクリングセンターは、走りに特化した本格サイクリング向けの自転車である「ロードバイク」専門のサイクルショップだ。ツール・ド・フランスに参戦するブランドの高級レース車から初心者向けの入門車まで、幅広い車種を揃える。3代目の小関正之さんは、祖父が始めた「町の自転車屋」を全国有数のロードバイク専門店へと育て上げた。
父の自作バイクで走った少年期 乗るのも触るのも「おもろい」
「町の自転車屋」の2代目である、父・博一さんは時代に先駆けて、サイクリングチームを作り、仲間たちに自転車で遠乗りする楽しみを伝えた人物だ。
正之さんは小さいときから博一さん自作の自転車を乗り回し、サイクリングの楽しさを知った。整備の仕方を覚え、高校生になると長期の休みのたびに日本各地を自転車で旅した。
「景色を楽しみつつ、全国を回りました。その地の食べ物や人との出会い。高校ではサイクリングだけしていました」。
高校卒業後は大学に行くつもりだったが、祖父が急逝し、家業を手伝うことになった。そうして正之さんが出会ったのは、旅をするサイクリングとは別の、速度を競うレースの楽しみだ。当初は選手だったが、正之さんは自転車のレーシングチームを結成してコーチに就任。28歳のときに全日本実業団ロードレース3位入賞の実績を残した。
正之さんはレースもサイクリングも、どちらも等しく好きだ。「第一にサイクリングは健康にいい。スピードに身を委ね、景色を見ながらあちこち走るのが気持ちいい。レースは見るのも参加するのもおもろいし、乗るのも触るのもおもろい」と「おもろい」を連呼する。
ロードバイクの専門店として乗る楽しさを伝えていく
フォルムの美、丈夫さと軽さ、機能を兼ね備えたロードバイクに魅了された正之さん。30歳になる頃、思い切ってロードバイクの専門店へと舵を切った。お客さんが減る不安はなかったか? と聞くと、シンプルで真っすぐな言葉が返ってきた。
「経営が苦しくなったら、給料を減らせばいい。大変と思ったことはない」。
正之さんは納品の際、乗り方のコツや整備、修理の仕方などをじっくりとレクチャーする。レースに参加するお客さんは約3割。残りの7割は休日にサイクリングを楽しむような愛好家だ。
「初心者が自転車にハマっていく姿を見るのが一番うれしい。自転車ライフをサポートできるのが喜びです」。
コセキ サイクリングセンターでは正之さんの次女夫婦が4代目として活躍中。自転車好きにはぜひ訪れてほしい空間だ。
コセキ サイクリングセンター
TEL
075-463-3428
ACCESS
京都市上京区七本松通今出川上ル毘沙門町496-17
最寄りバス停
上七軒
営業時間
11時~19時(日祝12時~18時)
定休日
水