「兄弟の信頼関係が逸品を作る」
「京都の人は牛肉が好きやからね。ほんまにその舌はええ和牛やないと納得させられへんな」。店主の大川弘孝さんは、父の代から数えて63年になる暖簾を引き継ぎ、黒毛和牛の専門店として品質にこだわり続けてきた。ステーキハウスで腕を磨いた弟の定雄さんを誘い、カツサンドを考案したのは5年前のこと。主にステーキに使われる希少な部位、ランイチを使ったビフカツサンドは、口コミで広がり、今や七条界隈では有名な一品となった。
確かな肉の目利きと、ステーキハウス仕込みの腕。
オリジナルのブレンド油で揚げられたビフカツはシートも使いながら入念に油を切る。「兄貴が回してくれた上等の肉。その旨味を引き出すんが僕の仕事や」。この道40年のキャリアを持つ定雄さんは、ソースまで一切の妥協を許さずに自らの手で仕込む。「昔のコックは全部自分でしたもんや。人に任せるいう感覚がないね」。傍らには嬉しそうに肉を切り分ける弘孝さん。「あいつに任せといたら間違いない。ええ肉は売るほどたくさんあるからな(笑)」。
肉は注文が入ってからフライヤーに。揚がる頃合いを見計らって、トーストしたパンにバター、芥子を塗る。大葉を一枚引いて、よりあっさりした後口に仕上げる。「赤ワインと一緒に食べてや」。その味わいは、まさか肉屋の一角で売られているものとは思えない。兄弟の信頼関係が、お肉屋さんのA級グルメを作り上げた。
お肉の大川
TEL
075-313-7851
ACCESS
京都市下京区西七条南中野町49
最寄りバス停
七条御前通
営業時間
9時~18時半(18時L.O)
定休日
水・第4水木