カレーをきっかけに人生が動いた
店名の「DAVA」はヒンディー語で「薬」を意味する。店長のあおいさんは、医薬品産業が盛んな富山県出身。地元の大学に行き、6年前まで製薬会社で働いていた。薬に縁の深い彼女らしい、なんとぴったりな店名だろうか。
そんなあおいさんがハマり込んだカレー沼について、聞かせてもらった。
カレーとの出会いが、
人生を変える転機に
きっかけはささいなことだった。富山の製薬会社に勤めていた頃、化学薬品のアレルギーに悩まされていたあおいさんは、漢方に興味を持った。前後して、当時、富山に数軒あったパキスタンカレーの店に通い、カレーに魅了される。やがて暇を見つけては日本全国の有名なカレー店を食べ歩くように。本場の味を求めて、スリランカへ一人、旅に出て、文化に触れた。
全国のカレーを巡るうちに、あおいさんに強烈な印象を残した店があった。それが大阪・谷町の「カレーバー ニドミ」。ニドミの「豆カレー」のおいしさが忘れられず、27歳で会社を退職し、大阪へ移住。ちょうどニドミがスタッフ募集中と知り、思い切って転職したのだ。
それから4年。同店が京都に姉妹店を出すことになり、2023年に店長としてあおいさんに白羽の矢が立った。
初めて任された新店舗で、
南インドのカレーを発信
ひとくちにスパイスカレーと言っても、地域によってその特徴はさまざま。あおいさんが好きなのは、スリランカカレーと、南インドのカレーだ。
「スリランカや南インドのカレーはさらっとしていて、酸味がほどよく効いたものも多いです。自分の味覚や体質に一番合うんです」。
そんなあおいさんが目指すカレーは「南インドのカレーと、日本人の好きなカレーの中間」だ。おいしさを追求しつつも、インドカレーの素晴らしさをあおいさんなりに表現している。
「心の片隅に、こんな文化があることを留めてもらえれば嬉しい。たとえお店に来るのが一度きりだったとしても」。
カレーをきっかけに自身の人生が大きく動き出した経験から、その文化に触れたことがない人が魅力を感じられる場を作りたいと、あおいさんは話す。だからこそ、スパイスカレーになじみのない人にも入りやすい店を目指している。
あおいさんはスパイスを工夫し、日本人の口に合うようアレンジを加える。お皿にはカレーとともに、野菜を使った色とりどりの副菜がずらり。お皿の上で自由に混ぜ合わせ、複雑な味わいを楽しむ。「南インドのカレーは食べ過ぎても胃にもたれにくいんです。歴史をさかのぼるとスパイスはもともと、薬として扱われていたものですから」。
「良薬は口に苦し」とはまったく異なり、DAVAのカレーは口福(こうふく)そのもの。あおいさんがハマり込んだカレー沼、その一皿を味わってほしい。
Curry DAVA
ACCESS
京都市下京区夷馬場町35-13
最寄りバス停
七条壬生川
営業時間
11時半~14時半、18時~20時半、土日祝11時半~17時(L.O.は30分前)
定休日
火・水