「老人が懐かしむハンバーガー」
マクドナルドの前からあるバーガーショップ。
大映通り商店街のちょうど中腹あたり。レンガが積み上げられた建物に、coffee、ハンバーガーと大きな文字が見える。少しレトロな外観と、漂ってくるコーヒーの香しさに誘われて、思わず入店する客も多いはず。オーナーの萩原庸吉さんが「コーヒー&ハンバーガー 萩」を始めたのは45年前。最初は嵐山の駅前でオープンした。「マクドナルドが嵐山にできたのは、僕が始めた3年後やった。だから、最初は誰もハンバーガーなんて知らなかったんちゃうかな(笑)」。
店を始めたきっかけは、萩原さんのお姉さんが、ハワイで入ったハンバーガーショップだった。「姉が入った店がこの店と同じ、レンガ作りだったらしくてね。とにかく初めて食べたハンバーガーが、えらい美味しかったみたいです。ほんで同じもんが、日本でやりたいって言うて……」。それから45年、今では姉弟で2店舗のハンバーガーショップを営んでいる。

萩のバーガーの秘密は
特注バンズとパティ
萩のハンバーガーを食べて、まず驚くのがバンズの美味しさだろう。風味豊かでやわらかく、なにより中のパティにうまく調和する。「これは特注でね。創業以来、ずっと同じように焼いてもらってる。それでも職人さんのことやし、毎日大きさがバラバラでね(笑)。えらいごっついときもあるし、ものすご小ぶりのときもありますねん」。しっとりとした口当たりのために、材料を特別の配合で注文するというバンズは、1つずつが手作りのため、なかなか形が揃わないのだそう。
そしてもう1つ、この店のバーガーの美味しさを担っているのが、オリジナルのパティ。牛と豚のブレンドミンチと玉葱、そして香辛料を毎朝仕込んで、オーダーが入ってから、薄く油をひいた鉄板であっさり、じっくりと焼く。「鉄板が小さいから、いっぺんにたくさん焼けませんねん。注文が多いときは、お客さんに待ってもらわなあかんのです」。
バンズが不揃いでも、待ち時間は長くても、このバンズとパティでなければ、萩のハンバーガーはできない。

懐かしい味、
思い出のハンバーガー。
ハンバーガーショップと言えば、きっと若者が主となって集い、食べることが多いだろう。しかし、この店は少し違っている。「若い頃に嵐山で食べた、ハンバーガーの味が忘れられへん」。そう老人が言いながら、この店のハンバーガーを懐かしそうに注文する。昼時には、若者に混じり、大勢の老人が集う店。それが「萩」の姿である。
「味覚も時代とともに変わってきてるかもしれんけど、うちは同じように出していきますわ」。自家焙煎のサイフォンコーヒーの香りを楽しみ、ハンバーガーを頬張る老人が、今日も萩のカウンターに溢れている。

コーヒー&ハンバーガー 萩
TEL
075-861-9244
ACCESS
京都市右京区太秦多藪町15-24
最寄りバス停
太秦開町
営業時間
8時~18時半
定休日
第2第4日曜