Foot Create 足対談 vol.6
肛門科医の佐々木みのりさんは、「便秘の予防に、歩こう」と話す。専門医とフットケアの専門家が、足と肛門の関係について、熱く語り合った。

櫻井 一男
PROFILE
<フットケアの専門家>フットクリエイト インソールデザイナー

肛門科専門医・指導医
佐々木 みのり
PROFILE
大阪肛門科診療所・副院長。大阪医科大学卒。大阪大学付属病院などを経て現職。「肛門の便秘」を治すことで「切らない寿治療」を実現。著書に『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)など。
歩くことで便秘の悩みを解決!
櫻井:佐々木先生は肛門科がご専門。便秘や痔は生活習慣病のひとつで、毎日の生活を見直して便通をよくすることが予防になると提唱されています。
佐々木:そうなんです。特に「歩くこと」は、誰でもすぐに始められる習慣として、強くおすすめしたいです。足の専門家である櫻井さんとお話しすることを、今日は楽しみにしてきました。
櫻井:光栄です。歩くことと便通はどんな関係が?
佐々木:軽くても、運動するとおなかは上下に動きます。腸への刺激となり、便秘の改善に効果があります。歩くことは、手軽なので続けやすいことですね。
櫻井:なるほど、ウォーキングやジョギングは、自分のペースで無理なく続けられますね。
佐々木:はい。「排泄後におしりを拭くと便がつく」「温水洗浄便座がないとつらい」「出始めの便が硬い」そんな自覚がある人は便秘の可能性大です。便秘の人は案外多いんです。長年の臨床の経験からすると、日本人の8割が便秘という印象を受けています。
櫻井:そんなに!
佐々木:かくいう私も若い頃、呼吸できないほどの腹痛に襲われ、救急搬送されました。内科医に「便秘ですよね?」と言われて、「毎日排便があるのに?」と、驚いた経験があります。しかし私のレントゲンには、肛門に近い部分の腸に、ぎっしりと便が溜まっている様子が映っていました。毎食後に排便があったから、自分が便秘だなんて思ってもみなかったんです。
櫻井:そうなんですね! 排便があっても便秘ということがあるんですね。
佐々木:はい。排便がある=便秘ではない、とは限りません。直腸に便が残ると、痔などのトラブルにつながります。実は、肛門周辺の便秘が、肛門疾患の原因であることが多いんです。
櫻井:ヨーグルトや発酵食品を食べる「腸活」で、便秘は治ると思っていました。
佐々木:大腸で便がつくられる段階には効果的だと言われています。ただ、すでにできあがって出口まで下りてきた便を排出することには、効かないんです。
櫻井:「出口近くの便秘」ですね。知りませんでした。
佐々木:大切なのは「1回の排便で出し切って、直腸も肛門も空っぽになっているか」です。毎日でなくても、3日に1度でもきちんと便を出し切っていれば、それは便秘ではありません。トイレは我慢せず、便意を感じたら行って出す。これが基本の対策です。
櫻井:なるほど。便意を我慢しないこと。そしてよく歩くことが便秘対策なんですね。

予防で「100歳まで元気」を目指す
佐々木:でも肛門科って敷居が高く感じられますよね。
櫻井:正直、行かずにすむなら行きたくない場所です。
佐々木:だからこそ、肛門科はもっと「予防」に目を向けるべきだと思っているんです。今は「治療の場」になりがちですが、できることなら病気になる前に、正確な知識を届けたい。痔で病院にくる人のほとんどが、肛門の便秘です。排便を正しく整えられれば、痔で悩む人はぐっと減るはずなんです。
櫻井:なるほど。だから先生は予防に力を入れるのですね。共感します。私たちも、足の痛みや腰の不調を防ぐケアに力を入れています。靴やインソールの提案を通して、姿勢や歩き方を自覚してもらう。その先に「100歳まで自分の足で歩ける社会」をつくるという目標があります。
佐々木:いいですね。私は肛門、櫻井さんは足ですが、目指すところは同じ。「自立して元気に生きること」ですね。足腰の痛みや悪い姿勢は、排便に影響します。よい排便のためには、しっかり歩ける体であってほしいです。
櫻井:今日は「元気に歩く」ことが、いい排便にもつながっていると知って、目から鱗が落ちました。
佐々木:私の診療所も、櫻井さんのお店のように気軽に悩みを相談できる場所でありたいですね。排便の話は、健康につながっています。もっとオープンに話せる社会をつくりたいです。
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