嵯峨広沢の自然豊かな環境にある不動産会社・彩里が、2026年にこれまでにないコンセプトのモデルルームを左京区岩倉にオープンします。京都の建材を使い、京都の職人の手で建てる「ものづくり」。そんな思いを、代表の三輪さんが、京都で活躍するゲストと語り合います。今回は桜満開の4月に京料理「鶴清」を訪問、四代目田中信行さんと話しました。

料理旅館「鶴清」 代表取締役
田中信行
PROFILE
守ること。それが個性となり挑戦になっています
京都出身。料理旅館「鶴清」四代目。同志社大学法学部卒業後、大阪ロイヤルホテル吉兆で4年修業。「鶴清」代表取締役として創業から101年の料理旅館を率いるほか、総料理長として先陣に立ち、毎朝市場へ出向いて食材を吟味。厳しい目利きをクリアした食材のみを用いて、磨き続けた料理の腕をふるう。小学生と幼稚園の2児の父。

株式会社彩里(さいと) 代表取締役社長
三輪幸徳
PROFILE
自然に呼吸が深くなる、木造建築。彩里の構想も個性につなげたい。
京都出身。同志社大学経済学部卒業後、生命保険会社や注文住宅会社を経て、株式会社彩里のルーツである不動産会社に就職。2022年から嵯峨の里山オフィスで「半農半X」のライフスタイルを実践提案、畑で無農薬野菜をつくりながら不動産の利活用、売買、相続のコンサルティングに携わる。京都芸術大学通信教育部で建築デザインを勉強中。2児の父。
地産地消でいいものをつくる
三輪:左京区岩倉で京都の建材を使った新しいタイプの家を計画しています。ただ地元建材の良さ、木造の良さを、どうやって新しいイメージで伝えたらいいか、思考錯誤しています。
田中:岩倉は緑も多く、子どもをのびのび育てるのにもぴったりの場所ですね。私は「鶴清」の四代目で、総檜造りの3階建ての建物は築100年ほどになります。三輪さんの「新しい建物をつくる」に対して、「古いものを守る」と立場は異なりますが、参考になればと思います。まずは料理をどうぞ。
三輪:器が綺麗な八寸ですね! この「筍の木の芽あえ」で春を感じます。

田中:ありがとうございます。京料理の伝統は四季の食材を活かすこと。なかでも、「鶴清」はできるだけ京都産にこだわります。筍はとくに鮮度が大切。ようやく京都・塚原産が出てきたので使いました。京都の粘土質の土は、やわらかくて瑞々しい筍を育てます。鮮度や風味など、地産地消のよさを味わっていただくために、毎日市場で食材を吟味しています。
三輪:サクサクとした歯触りの後、水分が弾け、木の芽の香りがします!
田中:こちらは「春子の南蛮漬け」です。春子はニジマスの稚魚でいまが旬。焼いてから揚げると、やわらかく味が染みます。昔から、海が遠い京都では、魚といえば川魚でした。京料理には、そんな歴史や由来も盛り込まれています。
三輪:さっぱりとして美味しい! ホロリと口でとけるやわらかさ。調理の工夫を感じます。渓流が近い京都だから、新鮮な川魚をいただけるのですね。
田中:若い頃に修業先で、地元の良質な食材を使い、手間を惜しまないことを学びました。そこから料理の伝統に気づき、それを守ることに目覚めました。
三輪:美味しい料理を提供するための地産地消と料理の技。地元建材を使う家の素晴らしさも、同様に示せることがあると感じました。
木造建築は総合芸術
田中:三輪さんはなぜ木の家を推奨されるのですか。
三輪:愛知県の注文住宅を扱う会社にいたころ、地元の木材で家を建てる大工さんがおられたんです。つくられた家は、風土にしっくりと馴染んでいて、本当に素晴らしかった。だから「京都でも地元の木材で、心地よい家を提案しょう」と決心したのです。またそれは、林業家や大工さんなど職人を守ることにもなります。
田中:確かにそうした伝統技術は先細りで、だからこそ三輪さんの取り組みは価値があると思います。せっかくなので、ぜひ建物もご覧ください。まずは3階の大広間へどうぞ。
三輪:わあ、広い! 能舞台までありますね。
田中:200畳で最大300名収容できます。終戦後はダンスホールとして利用されたことも。現在は宴会場や舞台、結婚披露宴の予約も増えてます。
三輪:素晴らしい。鴨川や東山の眺望、そして木の空間はやっぱりいい。自然に呼吸が深くなり、ずっとここにいたくなります。木組みの格(ごう)天井や欄間の意匠、建てた人の思い入れも感じます。
田中:私も年齢を経て、その良さに気づきました。2階は5つ、1階には6つの座敷がありますが、随所に作り手の思いが見えるのです。
三輪:それを、何代も維持されることが素晴らしい。

田中:約100年の建築物ですから、いろいろと手を入れています。しかし、専門家には唯一無二の「総合芸術」とも言われます。この木造建築を守ることが、他にはない「鶴清」らしさを打ち出す挑戦にもなっています。
三輪:守ることが攻めになっている!
田中:はい。料理も同じです。伝統の京料理を作る中で、食材の選び方、それを活かす調理法など、すべてが残すべき大切な文化だと感じました。その気づきが、私のオリジナリティにつながるのかもしれません。
三輪:私も、京都の建材を使って、京都の職人が建てる家という彩里の構想を、オリジナリティにつなげたいです。今日はたくさんのことを学びました。
田中:応援しています!


株式会社彩里(さいと)
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定休日
日・水
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