
うなぎ屋 廣川 代表取締役
牧野順二
PROFILE
京都府出身。両親が創業した廣川を、ミシュラン一つ星を獲得する人気店に発展させる。嵐山まちづくり協議会会長、嵐山保勝会会長などを務める。

昂―KYOTO― 店主
永松仁美
PROFILE
京都の骨董店の長女として生まれる。京都・祇園町で営むギャラリー「昂―KYOTO―」は、西洋アンティークのほか現代作家による陶芸などを扱い、その独自の審美眼は多くのファンを魅了する。
京都の食通が通う嵐山の老舗「うなぎ屋 廣川」代表の牧野順二さんが文化人と対談するコーナー。今回はギャラリー「昂―KYOTO―」店主の永松仁美さんを木屋町店に迎えました。ミシュラン一つ星の名店が京都の街中に構えた、鰻を自分で焼いて食べるという新スタイルの専門店で、本質を知ることの大切さなどについて会話を弾ませました。
永松:牧野さんは美術にも深い造詣をお持ちですね。
牧野:美術館の評議員をしています。京都は文化的なものが溢れていますね。だからでしょうか。京都の飲食店団体の代表もしていますが、それだけで他府県から一目置かれます。
永松:たしかに、京都は人気がありますね。私のギャラリーも全国からお客さまが来られます。
牧野:千年の都だけあって京都には、いろいろなものが集約されています。
永松:誂ものを作るときや修復したいものがあるとき、困ったらすぐ助けてくださる方がたくさんいらっしゃいます。わからへんことがあったら、近所の職人さんに聞きますね。
牧野:東京の方々からも京都は一段上だと思われているところが何となくあります。
永松:廣川さんは鰻の味はもちろん、しつらえや器などにも気を配られていて、素晴らしいです。どんな観点で選ばれているのですか。
牧野:自分の感性です。そのために、いろんなことを見聞きしてインプットしています。そうでないと、何がいいのか悪いのか、判断がつかないですよね。料理も同じです。美味しさもいろんな段階がありますが、一番上を知っておかないとだめだと思います。

永松:美術品もそうです。先日、大英帝国博物館に行って最高級の中国のカップを見てきました。高いものが必ずいいとは思いませんが、見ることでその作品の本質を知り、なぜこの価格がついているのか知ることはすごく大事です。
牧野:「廣川」で一番いい鰻は、夏だけ扱っている天然のものです。ただし、天然の全てがいいというわけではありません。いいものは、千の中に一つだけです。それを自分で食べて味を知る。それが大切です。

永松:良いものを知ることに共感します。私は、百年後も残すべきものを残すという意識でギャラリーを運営しています。今日は、江戸時代の鰻とりの道具を持ってきました。
牧野:おお、これですか。
永松:これは今も使われる古い道具で、石の間や泥に隠れている鰻を、引っ掛けてかき出すのに使います。便利さから生まれたものですが、今やこのフォルムを美しいと思って、飾ったりします。
牧野:今も昔も変わらない、造形美ですね。
永松:ところで、鰻は天然でもとれる場所で味が異なるものですか。
牧野:天然の美味しい鰻が取れるのは、海水と淡水が混ざった汽水域です。流れも速くないので脂ものっています。一方、清流はあまり美味しくない。餌が少ない上、浅いので日がよく当たり、皮膚が硬くなってしまいますから。


永松:なるほど、では価格をつけるのが難しいのではないですか。私たちギャラリーは、きちんとした理由と価値をつけることが仕事なので、お聞きしました。
牧野:鰻の場合、この値段だったらどなたも食べられる、という価格が適正だと私は思うんです。高すぎると、ちょっとした集いや、お祝い事などに食べられない。
永松:そうですね。適正価格は大事だと思います。ギャラリーの価格設定は作家さんの価値を決めることにもなるので、きちんと慎重につけなければ、と思っています。
牧野:本質を知っていただくための価格設定だと思います。そのためにも「廣川」の料理は、江戸前の鰻を繊細な京料理とうまく融合させています。
木屋町 廣川
TEL
075-746-2257
ACCESS
京都市中京区恵比須町534-18ステラム2階
最寄りバス停
河原町三条
営業時間
11時半~13時半、17時~20時半
定休日
日・月(祝・祭日含む)
予約
前日までの予約要
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うなぎ屋 廣川
TEL
075-871-5226
ACCESS
京都市右京区嵯峨天龍寺北造路町44-1
最寄りバス停
嵐山天龍寺前(嵐電嵐山駅)
営業時間
11時~15時(L.O.14時半)、17時~21時(L.O.20時)
定休日
月(祝・祭日含む。年末年始、1月・5月・10月 連休有り※HP上にて事前にお知らせします。)
予約
前日までの予約要
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