Vol.5 : 2018年5月
「揺るぎなく強烈」なコンセプトを雑誌とイベントで通底させる。
往復書簡形式で雑誌の可能性を考える「ゆでレタスクラブ」。『ハンケイ500m』の円城新子編集長が、『レタスクラブ』の松田紀子編集長からの質問に答えます。
『レタスクラブ』編集長 のんちゃんへ
3月に京都で開催された、整理収納術の中山真由美先生と松田紀子編集長の『レタスクラブ』トークイベント。のんちゃん、本当にお疲れ様でした!客席で見ていて、「編集長の仕事」をまっとうしているのんちゃんは、すごくカッコよかった!
そして「大切なものを捨てられない」主婦の気持ちを尊重し、整理収納を提案される中山先生の視点は、優しくて素敵でした。さすが忙しい主婦の味方、レタスクラブ!!!
書籍=個人競技
雑誌=団体競技
これまた的を射て面白い、のんちゃんらしい考え方。まさにそうかもしれません。賛同!!!
それを受けて、私があらためて重要だと思うのは、「揺るぎなく強烈」な雑誌のコンセプトです。
いま、出版されている雑誌って、少なからずコンセプトらしきものはあるとは思うけれど「揺るぎなく強烈」とは思えない。
例えば、ターゲット層をぼーっと拡張したい、という方針で、それを曖昧にすることが「良し」とされていることもあるかもしれない。でも、それは結局、他誌とくっきり差別化されないし、ダサい雑誌になると思います。
イベントの前夜、のんちゃんと二人で飲みに行った帰り道、「雑誌の”1テーマ”特集は違うよね!」と盛り上がりましたね。 コーヒー、家具、パン、弁当箱、etc……。 毎月、多くの1テーマ特集が出回っているなか、のんちゃんも同じことを思っていたことが嬉しかった。
で、雑誌という団体競技の中で、先日のようなトークイベントはレタスクラブらしさを伝える上で、大切だったと思います。 それは、親和性の高いクライアントとがっつりタッグを組む上でも雑誌のコンセプトを読者に知ってもらうためにも。
私は、現在リアルに『ハンケイ500m』の読者とつながるイベントを模索している最中です。ただ、私だけで考えるのではなく、何がベストなのか、クライアントも交えて考えます。ただ、他社がやってもいいね、って企画じゃつまらない。
例えば、『ハンケイ500m』らしさ、「揺るぎなく強烈」な価値観は、まず「自分たちがリサーチする姿勢」から始まります。本物志向の地元人に伝えたいのは、実際に自分たちが足で稼ぎ、自分たちのフィルターを通した情報です。
それは時に、私たち編集部の独断です。辞書や専門書には書かれていない編集部が「これ、すごい!」って思ったことを伝えたい。そしてその「すごい!」の根拠こそがまた、『ハンケイ500m』の「揺るぎなく強烈」な2つ目の価値観。「取材対象者のオリジナリティ」です。
「聞いたことない、こんな話!」みたいな驚きと新鮮さは、ハンケイの醍醐味です。それを引き出しセレクトするのが編集部の役割だと思っています。
今後は、イベントというかたちであっても、こういう『ハンケイ500m』っぽいよね、といわれるようでありたい。 それを譲らないことが、読者とのつながりを緊密にしていくことだと思うから。
さて、のんちゃん、これはうちの社員からの質問です。
「松田編集長に質問です。雑誌には、時間が経つにつれて、読者と一緒に年をとっていく雑誌と、若返る雑誌があるように思います。 たとえば他社の事例で恐縮ですが、『クロワッサン』は読者の平均年齢が上がっているように見えます。 けれど、『レタスクラブ』はうまく若返っているように見えます。
その違いはどこにあるのでしょうか?作り手の立場から、どういう違いがあるのかを教えていただけませんか?」
返信楽しみにしています。よろしくお願いします!