辛いカレーひと筋です。
「最初のうちは甘口もなかったんよ。カレーは辛いもんだ! って(笑)」。 ビィヤントの店主は、カラフルなニット帽がトレードマークの小気味良く笑う名物お母さん。38 年前、オープン当初はサンドイッチパーラーだった。
老舗パン屋さん「ドンク」に勤めていたご主人が独立して開店。マヨネーズから手作りにこだわったサンドイッチがメインだったが、いつの間にかカレーが主役に躍り出ていた。ご主人が知り合いのインド人女性から教わった本格インドカレー以来、38年間辛いカレーひと筋だ。「こんな辛いカレー食えるか!」。当時はマイルドなカレーが当たり前の世の中で、江戸っ子気質のご主人とお客さんとの喧嘩もしばしばだったとか。

常連客の多さが物語る
やみつきカレー
5年ほどが経ち、お母さんが店を取り仕切るようになってからも、カレーの味は何ひとつ変わらない。 クミンシードを炒めて香りを移した油で、淡路産の玉ねぎを大量に炒める。LLサイズを寸胴あたり7、8個使用。そこにスパイスが17種類、オリジナルの配合で加わる。
「うちはジャガ芋も人参も入れないから。さらさらカレーでしょ?赤ワインはけっこう入ってるかな。バター使わないし胸焼けしないよ」。 さらさらのルーが淡い黄色のターメリックライスに浸み込む。これが最高に旨い。 ビーフは甘口・中辛・辛口の3種類で、チキン・シーフード・ベジタブルと合わせて6種類をそれぞれ違う鍋で仕込んでいく。半分ほどになったら新しく仕込んだルーを継ぎ足す。だから、辛さの中に深いコクが残っているのだ。
人気はカツカレー。うすめでサクサクした食感がちょうどいい。一口サイズにカットしてくれているから、スプーン上で小さなカツカレーが出来上がる。

おばちゃんいないの?
は聞きたくない
「店開けて10年ぐらいはいつ閉めようかって言うてたね」。今となっては想像もしにくいが、ビィヤントの創業当初は経営も低空飛行が続いていた。それでもなぜ閉めなかったのかと尋ねると、「リピーターの人が来るようになっててね、あの人が来るかもしれんからやっぱり開けとこって。美味しかったわっていう姿が浮かぶんよね(笑)」。 常連さんを思う気持ちが粘り腰を生み、決して裏切ることのないビィヤント愛好者を増やしていく。
「30歳ちょっとからずっとおばちゃんて呼ばれてる(笑)」。今日も息子さんと厨房に立つお母さん。引き際を考えることもあるのだろうか? 「いずれ引退して、息子と嫁に自然に入れ替わるようにしたいかな……でも私ね、引退はしないと思うね。いつになってもここに座ってそう(笑)」。 やっぱりそうだ、全国に散らばった常連さんが久しぶりに来店して「おばちゃんいないの?」はまだまだ聞きたくないらしい。

ビィヤント
TEL
075-751-7415
ACCESS
京都市左京区聖護院西町12
最寄りバス停
近衛通
営業時間
平日:11時〜15時(LO 14時50分)、17時30分〜21時(LO 20時30分)
日・祝日:11時〜16時(LO 15時45分)
定休日
土曜日