「和」と「葡(ぽ)」がつながる
新鮮な魚介類をシンプルに味わうポルトガル料理は、日本人の口によく合う。ブラジル育ちの作間マルセーロさんは、日本人の父とポルトガル人の母を持つ。忙しい母に代わって家族の食事を作ってくれたおばあちゃんの手料理が、彼のポルトガル料理の土台だ。オープンして5年。作間さん曰く「和」と「ポ(ルトガル)」がつながる場所。店を愛す人々と共に、進化を続けている。

ブラジル育ちの青年が
紆余曲折を経て料理の道へ。
プロテスタント系キリスト教団に属していた作間さんの父は日本人。人助けのため若くしてブラジルへ渡った。作間さんの育ったブラジル南東部の町プルジデンテ・プルデンテは日系移民が多く、盆踊りなど日本文化に触れる機会も多かった。
17歳で家族と日本に帰国した作間さん。ビジネス系専門学校卒業後、旅行代理店へ就職し10年以上働くが、海外勤務を命じられたのを機に退職する。35歳で一念発起して調理師学校に入学した。
「いろんな選択において、すべて自分で責任をもつことを大切にしてきました」。京都でスペイン料理店を経営する会社で勤めた。働きながら調理師免許を取得するが「厨房内の勢力争いに嫌気が差して」辞めることに。
そんなとき、人気のパキスタンカレー店だったこの場所を「好きなように使ってよ」と持ち掛けられ、自分のレストランを始めることになった。「スペイン料理は得意だったけど、ポルトガル料理の店なら京都でオンリーワンの存在になれると思ったんです」。

お互いに影響し合い、
成長してきた店と客。
オープンしてすぐにコロナ禍となるが、意外にも店の営業は堅調だった。大学関係者など近隣に住む常連たちに支えられて、店はさらなる進化を遂げていく。
当初はテーブルを回って細かく料理の説明をしていた作間さんだったが、お客さんを信頼し、最小限の案内にとどめるように。その代わりにメニューをどんどんテコ入れし、地方色豊かな郷土料理やジビエなども提供した。以前は「料理を邪魔しない」ことを基準に選んでいたワインも、「ワインにくわしいお客さんが増えてきたから」と、今では料理毎のペアリングが楽しめるように。
店の成長とともに客層が広がり、それに合わせて店もまたアップデートする。「そうやってこの店がある」と作間さんは微笑む。彼は今までの人生をこんな言葉で振り返る。「成功も失敗も苦労もすべて自分の責任だから。この仕事は楽しい」。その根っこには、ブラジルで苦労を重ねた父の生き様がある。
次は、ポルトガル料理に欠かせない「バカリャウ(干し鱈の塩漬け)」の工房作りに向けて「走り続けます」と作間さん。和とポの異なる文化がつながり、なにかが育つ場所。作間さんがラテン語から造語した店名「ビバリオ」には、そんな想いが込められている。

VIVA’RIO
TEL
080-4640-1903
ACCESS
京都市上京区駒之町561-4 河原町スカイマンション1階
最寄りバス停
丸太町京阪前
営業時間
17時~21時半LO
定休日
月・火曜