自分の好きな、ちょうどいい雰囲気に
大宮通沿いにあるプッチーロは、小さなイタリアンだ。半円状のカウンターに3つのテーブル、壁にはイタリアの皿と絵。オープンして14年、内装からイタリアの雰囲気が漂っている。
「腰壁やレンガの感じ。コンパクトで自分の好きなちょうどいい雰囲気にしたかったんです」、そう話すのはオーナーシェフの木村雄一郎さんだ。

装飾品や壁に掛かった写真からも、木村さんの抑えきれないイタリア愛が伺える。
国内のレストランと
本場イタリアで修業の後、独立
1978年生まれの木村雄一郎さんは、人気番組『料理の鉄人』に触発されて、料理人を志した。「フライパンを振るう鉄人の姿が格好よくて」と笑う。建築も好きだったが、料理に道を絞った。
調理学校を卒業後、一乗寺のイタリアン「トラットリア アンティコ」で、7年間腕を磨いた。百聞は一見にしかず。まずは本場の空気を感じたい。イタリアに行きたかった。25歳のとき「イタリアの四季をひと通り体験する」という目標通り、2軒のレストランで働きながら1年間イタリアで過ごした。
「イタリアは20州からなり、州ごとに郷土愛がある。郷土料理もワインもそれぞれ違う。深くておもしろいんです」。
帰国後は独立に向け、ワインの品揃えが豊富なイタリアンで働き、ソムリエ資格を取得。レストランでの給仕、後輩の店でのアルバイトで、開店資金を貯めた。
ゆりさんとの出会いもこの頃。「独立と結婚が同時に進んで、2012年、オープン。その半年前には長女が生まれました」と、雄一郎さんは怒涛の日々を懐かしむ。

現地の風格漂うイタリアン
心のこもった接客
プッチーロといえば、現地の風格漂う皿のたたずまいに加えて、軽妙なトークでファンを獲得していくマダム・ゆりさんが欠かせない。夫婦の丁々発止のやり取りは、ブッチーロの時間を楽しくしてくれる最高のスパイスだ。
「ゆりは、すべてのテーブルに話しかけていくんですよ」と雄一郎さんが愉快そうに評すると、ゆりさんは言い返す。
「当初、店を手伝う気はなかったんですよ。でも、ヘルプで呼ばれると、助けたくなります。独りで頑張ってるから」。
ゆりさんは、雄一郎さんの最高の理解者だ。今も雄一郎さんは2年おきにイタリアに赴く。「現地の味を知る」という大義名分はあるが、実際は「子どもがディズニーランドに行きたがるように、イタリアに行きたいんです」と白状する。
なにしろ帰国した途端「またすぐイタリアに戻りたい」と思うほどで、よほど性に合うのだろう。味覚、建物、美術……雄一郎さんが惹かれてやまないイタリアを詰め込んだのが、このプッチーロなのだ。
そんな雄一郎さんの料理を堪能して欲しいから、ゆりさんは接客に心をこめる。「地元の人に愛される店になりたい」。そう願って開いた店は、しっかりと地域に根を張った。着実に歴史を刻んでいくだろう。


トラットリア プッチーロ
TEL
075-842-1616
ACCESS
京都市下京区大宮通高辻下ル高辻大宮町123 モンテベルデ壬生1F
最寄りバス停
大宮松原
営業時間
12時~13時半頃L.O.
18時~20時最終入店(金土日は17時半~)
金はディナータイムのみ
定休日
木、不定休あり