人とかぶるのが嫌。
京都人でも迷ってしまうこと請け合い。
入り組んだ路地の一角に、2年前に誕生したラーメン店。洗練された店内には、外国人客の姿も見える。ほどなくして運ばれてきたラーメン。立ち上る香りに誘われるようにスープを口に含んでみると、ラーメンというよりもうどんに近い。初体験の味わいに驚きつつも箸の勢いは止まらず、琥珀色のスープで満たされていた鉢はあっという間に空になった。

東京から京都へ。
意図せず歩むことになったラーメン道。
店主、帯刀練之助さんの名を冠した「麺屋 練之助」。東京出身の帯刀さんは現在29歳。京都にやってきたのは7年前、22歳のときだ。京都のある人気ラーメン店で働く友人の誘いに、「おもしろそう」と迷うことなく首を縦にふった。1ヶ月後に京都に移住、そして入社の2週間後にはまさかの新店舗の調理担当に。それまで居酒屋での経験はあったが、ラーメンの調理は初めて。にもかかわらず、帯刀さんはレシピの改善に取り組んだ。
「食材のロスがあるのが気になって、上司に少しでもロスをなくしたいと進言したら、『自分が思ったようにやってみて』と」。
自分で言った以上はやるしかない。そこからは独学で試行錯誤を繰り返し、少しずつ成功体験を積み重ねていった。
帯刀さんは自身の性格をこう分析する。「いいと思ったことも悪いと思ったことも、全部、口に出すタイプ」。思い返せば高校の部活においても、相手が先輩であれ臆せず意見する人間だった。
「でも口に出す限りは、自分自身が真面目でちゃんとしていないといけない」。
入社から1年、今度は本店の店長に抜擢された帯刀さん。それから4年後、入社5年の節目の年に独立を決めた。
自分に正直であることが、
お客さんの喜びにもつながる
自分の店を開くにあたり目指したのは、脂っこい料理が苦手な自分が、毎日食べたいと思うラーメンだ。たどりついたのは魚介だしの無化調醤油ラーメンだった。
「大前提として、他の店とかぶりたくない」。動物系不使用というコンセプトこそ前の店と同じだが、材料も作り方もすべて刷新。路地裏の住宅街という立地も、他店がやらないという理由から、帯刀さんには魅力に映った。

帯刀さんらしいエピソードがある。好評だった麺を、途中で変更したのだ。
「お客さんから『麺がおいしい』と言われたのが悔しくて。『麺が』ではなく、『ラーメンが』でないと意味がない」。
麺とスープのバランスを見直した結果、誕生したのが、初めて挑戦した京都産小麦100%の麺だった。
「お客さんに評価されても、自分が納得してないと嫌なんです。自分がいいと思うものを、お客さんも気に入ってくれたらそれが正解だと思っています」。
自分に正直であることがもたらす口福を、この一杯のラーメンは教えてくれる。

麺屋 練之助
TEL
090-5789-9499
ACCESS
京都市北区紫野下柏野町56-32
最寄りバス停
千本鞍馬口
営業時間
11時半~14時半LO
17時半~20時LO
定休日
木・不定休