嵯峨広沢の自然豊かな環境にある不動産会社・彩里が、2026年にこれまでにないコンセプトのモデルルームを左京区岩倉にオープンします。京都の資材を使い、京都の職人の手で建てる「ものづくり」への思いを、京都で活躍するゲストと語り合います。今回は工芸工房鎚舞を訪問、「現代の名工」金工職人の中村鎚舞さんと話しました。

東風美術工芸株式会社 工芸工房 鎚舞(ついぶ) 代表取締役社長
中村鎚舞
PROFILE
心がキュンとする。優れたものづくりに共通する魅力です。
1956年生まれ。京都出身。1990年「工芸工房鎚舞」創業。髪の毛ほど細い線で文様を彫る彫金技術や銀や銅、真鍮など数種類の異金属の接合・撚る・叩くを繰り返す「錬込地金」で注目される。令和6年度「現代の名工」。工芸学校や小学校への指輪制作体験など普及活動も行い、金工職人・金工作家・経営者の「三刀流」を目指している。

株式会社彩里(さいと) 代表取締役社長
三輪幸徳
PROFILE
「満ち足りて暮らせる」と言われる家づくりを追求したい。
1987年生まれ。京都出身。同志社大学経済学部卒業後、生命保険会社や注文住宅会社を経て、株式会社彩里のルーツである不動産会社に就職。2022年から嵯峨の里山オフィスで「半農半X」のライフスタイルを実践提案、畑で野菜をつくりながら不動産の利活用、売買、相続のコンサルティングに携わる。京都芸術大学通信教育部で建築デザインを勉強中。2児の父。
職人もビジネス目線を
三輪:左京区岩倉で京都の建材と職人の手による、住む人が豊かな気持ちで暮らせる、新しい家づくりを進めています。
中村:伝統的なものづくりを大事にされる三輪さんの心意気、うれしいですね。私は江戸時代から七代続く、鍛金や彫金金属加工を手がける竹影堂の次男として生まれました。最初は画家を目指していましたが、21歳で断念、父に弟子入りし、茶道具など伝統工芸品づくりに精を出しました。
三輪:京都で200年以上、金属工芸を営んでこられたのですね。
中村:ただ、父は職人気質な人でした。腕はあるけどプライドも高く、商売として続くのかと心配になりました。そこで宝飾の勉強をしながら、30代で独立、金工の彫金教室を始めました。竹影堂のすぐそばに工房を構えたのです。
三輪:彫金師としてデビューし、お名前も屋号も「鎚舞」にされたのですね。指輪の彫金教室も近年大ブームです。
中村:彫金教室に通っていた生徒さんが「作品作りの中でも、指輪制作が一番楽しく魅力」と話してくれたのです。なるほどと思い、本格的に一日指輪作り体験教室を始めました。「結婚指輪づくりで絆が深まった」など、評判になり、現在は東京、名古屋、川越、柏と5工房に広がっています。
三輪:素晴らしいビジネスモデルです。
中村:業界の担い手を育てるには、伝統工芸を支える職人が生計を立てられ、ビジネスとして成り立つことを示さなければなりません。いまやこの彫金教室は経営の柱。従業員も「職人として食べていける」希望が見いだせています。しかも彫金教室は、金属工芸のおもしろさも一般の方々に広められます。
三輪:未来の担い手に、ビジネスモデルを示しながら、一般の方々に伝統工芸を広めていらっしゃる。
中村:一方で、私が本気でやりたいのが、彫金の道を究め、金工技術を後世に伝えることです。機械による精密な加工技術は進んでも、手作業でしか実現できないことがたくさんあるのです。
三輪:国宝等金工文化財のレプリカをつくられ、全国の博物館等に展示されていますね。
中村:修理方法等を検討するために原寸大の複製を依頼されています。時代当時の制作手法を再現するために調査検証し制作します。基本、長持ちするのが金属の魅力で、銅や銀は数千年以上、金は永遠に残ります。加工は難しいけれど、こうした作業を誰かがつなげていかなければと感じています。
三輪:家づくりも同じです。建材を選び、職人さんが伝統工法で家を建てるよさを伝えていかないと、伝統技術も産業も廃れてしまう。崇高な技術を持つ職人さんと施主さんの思いをうまくつなぐにはどうしたらいいか、考えているところです。
「鎚舞象嵌(ぞうかん)」で特許取得
中村:人に価値を伝えるには、「これはすごい職人の技術でできている」と言うのではなく、まずは「こんなふうに素敵なものを作りたかった。そのためにこの職人を選んだ」と、完成物の良さからストーリーを始めることが重要です。家なら、「ここ素敵」と感じてもらい、後からそれを実現した技術や職人を説明する。相手の心が「キュン」とする、感動が先に来るのが大事なんです。
三輪:なるほど!
中村:私も仕事を始めた時から、象嵌の優美さに感動し、このすばらしさを多くの人に知ってもらいたいと思っていました。そして「指輪への象嵌なら皆が身につけられる」と思いつづけていました。ただ、これまでの技術では、細く華奢な指輪に象嵌を施すことができません。研究し、少しずつ工夫を積み重ね、ついに微細な表現を施し「キュン」とくる指輪にまで究めることができました。そしてその工夫、技術が、特許までいただいたのです。


三輪:「これまでにない美しいものを届けたい」という熱い思いが未来を拓かれたのですね。家づくりも同じだと実感しました。職人の作る家の素晴らしさを、施主さんに伝えながら、その思いを叶えるプランを提案していきたいと思います。


株式会社彩里(さいと)
TEL
075-432-7655
ACCESS
京都市右京区嵯峨大沢落久保町5番地1
最寄りバス停
広沢池・佛大広沢校前
営業時間
9時~18時
定休日
日・水
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